文芸評論家の林浩治さんに無理を言って、在日朝鮮人作家9人+αを選んでいただき、ミニ評伝を書いていただいています。→「在日朝鮮人作家列伝」
とつぜんですが、
今、世の中では、人を決めつけるきたない言葉をぶつけることが大流行です。まるで、先にぶつけないと自分がやられてしまう、とでもいうように。
中でも、お下劣なのが、「朝鮮人は帰れ」というあの暴言です。
いま日本社会は、日本で生まれ育ち、働き、税金も納めている44万人もの人たちに、選挙権をもたせず、健康保険に加入させず、就職や結婚などあらゆる場面で困難に直面させています。
これは、簡単に言えば、朝鮮半島を侵略し、人々から土地・仕事・人権など様々なものを奪った旧日本帝国と、その後の日本国の政策のせいです。
でも私たち現代人のほとんどは、学校で、近現代史を習っていません。
だからどうかすると、「ぶっちゃけ、どうして在日韓国・朝鮮人の人って日本にいるんだろ」
なんて悪意もなく思う人もあるようです。
まずは知ることが大事と思います。
歴史の本で学ぶことも大切ですが、
優れた小説には、小説にしかできないことがあります。
それは、読者を、作者がありありと感じたその世界へつれてゆき、主人公たちの感覚、名付けようのない気持ち、見たもの、聞いたもの、嗅いだ匂いまで、かくかくしかじかと説明できないようなことを体験させてくれるということです。
そして何より小説がすごいのは、勉強の本より格段におもしろいことです。
78年前に旧日本帝国が戦争に負け、日本に植民地支配されていた朝鮮半島は解放されましたが、朝鮮半島の歴史は血みどろの道をすすみ、多くの人が困難の人生を歩みました。
日本にいた朝鮮半島出身者のうち、文学を志す人は、何語で書くべきか、まず悩むところからはじめ、多くの優れた日本語文学を世に問いました。
ですが今日、大半の在日朝鮮人作家が忘れ去られようとしています。
どんな作家がいたかさえ、編集人もほとんど知りませんでした。
そこで、多くの在日朝鮮人作家の謦咳に触れてこられた林浩治さんにおねがいして、11人(9人+戦前2人)の作家をあげていただきました。
加えて、この数十年来、めざましく活躍されている作家たちについても語っていただくことにしました。
あわせて11回(年2回)の連載が始まっています。
【目次】
① 金達寿 キム・ダルス(1920-1977)→
② 金泰生 キム・テセン(1924-1986)→
③ 金石範 キム・ソクポム(1925- )→
④ 鄭承博 チョン・スンバク(1923-2001)→
⑨ 李良枝 イ・ヤンジ(1955-1992)
番外1 張赫宙 チャン・ヒョクチュ と 金史良(キム・サヤン)
番外2 現代の作家たち(金重明・黄英治・柳美里・玄月など)
林浩治(はやし・こうじ)
文芸評論家。1956年生まれ。最近著『在日朝鮮人文学 反定立の文学を越えて』新幹社が、メディアに取りあげられ好評を博す。「図書新聞」などで活躍中。ほか著書に『在日朝鮮人日本語文学論』『戦後非日本語文学論』(ともに新幹社)、『まにまに』(新日本文学会)など。
2011年より続けている「愚銀のブログ」(http://kghayashi.cocolog-nifty.com/)は、日本・朝鮮ほか文学情報の宝の蔵!
どうぞ、ご関心いただけましたらうれしく存じます。
けいこう舎編集人 栗林佐知