短篇小説を愉しむ文芸誌『吟醸掌篇』vol.3
■ contents ■
【小説】
なかちきか「月の裏側」(画・耳湯)
志賀泉「このからだ微塵に散らばれ」(画・坂本クラシック)
久栖博季「かれはなにぞ」(画・こざさりみ)
尾崎日菜子「蜂蜜の海を泳ぐ─地上の小魚」(画・有冨禎子)
岩槻優佑「蒼の残響、朝の気配」(画・木村千穂)
栗林佐知「おばあさんの島」(画・たらこパンダ)
【コラム】
空知たゆたさ
「わたしの愛する短篇作家③ロジェ・グルニエ 難を免れる人々への賛歌」
(画・坂本クラシック)
岡部篠/愚銀/踏「去年の読書から わたしの短篇ベスト3」
h.c.humsi/寺田和代/斎藤真理子/河内卓「わたしの短篇ベスト3〈カリブ海クレオールな文学篇〉」
【装画・装幀】
山﨑まどか
【表紙裏カット】
木村千穂
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■profile■
なかちきか(なかち・きか)
代々木公園文芸部同人。しかし同人誌「ヨヨミ」を3号まで出して部活は休止中。
再開が夢です。
たまに路上で植物を育てたり、読書会を開いたりしている。ふだんは会社員。
志賀泉(しが・いずみ)
福島県南相馬市生まれ。県立双葉高校出身。
二松学舎大学文学部卒。2004年「太宰治賞」受賞。
著書に『指の音楽』、『TSUNAMI』(ともに筑摩書房)、
さらに2019年春、『無情の神が舞い降りる』を10年ぶりに筑摩書房より発行、
注目を集める。同書はフランス語・イタリア語に翻訳出版される。
「立入禁止区域、双葉~されどわが故郷」(佐藤武光監督)、
「原発被災地になった故郷への旅」(杉田このみ監督)など、映画制作にも携わる。
久栖博季(くず・ひろき)
弘前大学人文学部卒。北海道在住。
第122回文學界新人賞3次予選、第60回群像新人賞2次予選通過。2019年10月、第53回北海道新聞文学賞最終候補。
(祝! 2021年、第53回新潮新人賞受賞!! 鴻巣友季子さんほか選考委員が絶賛!)
目に見える世界の中に自らの言葉をひとつ落としてみる。そこに波紋が広がったのは水鳥が飛び立ったからか。捕まえられないものに狙いを定めて言葉を撃つ。あるいは創作かもしれない日常の中で、頭上には美しい鳥が旋回を続ける。
尾崎日菜子(おざき・ひなこ)
コーラ色の大阪湾沿いに立ち並ぶ公団住宅で育つ。トランスジェンダー女性であり、フェミニストとして生活している。2015年「蜂蜜の海を泳ぐ」で第4回路上文学賞入選。
『吟醸掌篇』vol.3所収の作品は、2017年、小田原市で発覚した生活保護問題(いわゆる「小田原ジャンパー事件」)を受けて、前作の物語世界を拡張したもの。
岩槻優佑(いわつき・ゆう)
宮城県生まれ。大東文化大学国際関係学部卒。
2003年コスモス文学新人賞入選、2007年朝日新人文学賞受賞。
著書に『なもなきはなやま』朝日新聞出版。@yuu_iwatsuki
栗林佐知(くりばやし・さち)
本誌編集・発行人。@KuribayashiS
空知たゆたさ(そらち・たゆたさ)
海外文学の翻訳を中心に濫読。とくに中欧文学に惹かれる。
今は、中世ヨーロッパ文学をある程度体系的に読む準備をしながら、やはり濫読に溺れる日々。
お仕事のご用命はツイッターのメッセージまでお願いします。@Hako_Otokos
岡部篠(おかべ・しの)
栃木県出身。卸売会社社員。総務経理。チーズ愛好家。
アイヌ民族の諸問題に関心があり、今年は向井豊昭氏の小説を読み始めた。
今後も読みながら、何かしらの揺さぶりを受けるような作品や作家に出会いたい。
愚銀(ぐぎん)
埼玉県生まれ。林浩治名での著書に、『在日朝鮮人日本語文学論』(新幹社)、
『戦後非日文学論』(新幹社)、『まにまに』(新日本文学会)など、
論文に「金石範文学論・在日の実存を済州島に結ぶ」(『神奈川大学評論』第83号)など。
「愚銀のブログ」運営。
踏
ことば(特に詩。ディキンソン、エリュアール、プレヴェール、オクタビオ・パスetc)と鳥が好き。カラスのように読み散らかしては、光るものを集めている。
ストーリーテリング勉強中で図書館・文学館・小学校でボランティア活動をしながら、昔話や子どもたちから、知恵と不思議と冒険に満ちたことばを教わる日々。@awordisabird
寺田和代(てらだ・かずよ)
フリーライター・エディター。
女性誌や総合誌での取材・執筆、単行本などの企画・制作にかかわる。
共著に『福祉用具で変わる介護のある暮らし』(中央法規)ほか。
単著に、三十回以上の欧州ひとり旅体験をもとに中高年女性が安全・リーズナブルに旅を楽しむガイド&エッセイ『solist[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり旅』『『solist[ソリスト]おとな女子ヨーロッパひとり歩き』(KADOKAWA)。
h.c.humsi(ひろはむし)
W.Gゼーバルト、ロベルト・ボラーニョ、須賀敦子、村上春樹を中心に、喪、戦争、道化、物語などのテーマに興味を持つ。音楽はceroを主軸に。ポエトリーカフェへの参加を契機に、今は詩も拠りどころ。@c_humsi
斎藤真理子(さいとう・まりこ)
新潟市生まれ。韓国語翻訳者・ライター。
パク・ミンギュ『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン刊)で第一回日本翻訳大賞。『ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉小泉八雲』(筑摩書房)原稿担当。
韓国を楽しみ・味わい・語らう雑誌『中くらいの友だち』(韓くに手帖舎発行・皓星社発売)創刊メンバー
河内卓(かわち・たく)
神奈川県三浦市生まれ。出版社社員。学区部では地理学(東京の河川)、大学院ではカリブ海文学を学ぶ。
仕事とは別に雑誌『北と南』、牛島兄弟『だれかの映画史』を発行。
山﨑まどか(やまざき・まどか)
写植時代に広告屋で働き、出版、中間支援など経験。並行して20代よりフリーでイラスト・デザインの仕事を始める。現在、野宿生活経験の仲間の人生を聞き書き一冊に1人特集する「あじいる」編集に参加。普段は女性福祉施設で作業担当。世の荒波に沈没しかけながらもいきのびている。お仕事はウェブサイトまで
木村千穂(きむら・ちほ)
画文集『中庭の少女』(ヘルスワーク協会)。
藤澤三佳『生きづらさの自己表現』(晃洋書房)にインタビューが収録されている。同書の表紙も担当。
耳湯(みみゆ)
田舎の小さい会社でデザイナー。
大物のイラストレーターになりたい。
趣味は自分の描いた漫画をひたすら読むこと。
坂本クラシック(さかもと・くらしっく)
東京都生まれ。中央大学文学部中退。
マンガらしきもの、イラストまがいのもの、ウェブアプリなどを制作。
現在スマートフォン用のゲームを開発中。
こざさ りみ
主に植物をモチーフとした絵画をSNSで発表する中、栗林氏と出会い、挿画の世界に目覚める。
お仕事はウェブサイトまで。
有冨禎子(ありとみ・さだこ)
神話や海の生き物、人物をテーマに、日本画を描く。
日展、上野の森美術館大賞展、AG風ほか入選。東京女子大学哲学科卒。
お仕事ご用命は@cassis_sketch
たらこパンダ
本音を代弁する〈そぼく犬〉ラインスタンプ好評発売中
〈special thanks〉
ページタイトル等制作協力: PLUMP PLUM(プラム・プラムデザイン事務所)
2006年立ち上げ。ほとんどの作業&窓口担当の有賀は東京都練馬区出身。多摩美術大学油画科卒。Bゼミ修了。画家、デザイナー。趣味のブログ『すもも画報』。雑誌、書籍のデザイン・挿画など、お仕事のご用命は、http://plump-plum.comまでどうぞ。
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